歯周病

歯茎が黒くなるのはなぜ?原因と治療法を解説します

歯茎が黒ずんでいると「大丈夫かな・・」と心配になりますよね。

 

喫煙や被せ物による色素沈着、歯周病など、歯茎が黒くなるのには何らかの原因があります。
また、お口の見た目はお顔全体の印象を左右するのでコンプレックスの原因になることもあります。

 

そこで今回は、歯茎が黒くなる原因と治療法についてまとめました。

歯茎の黒ずみを改善して口元に自信を取り戻していきましょう。

 

健康な歯茎とは

 

健康な歯茎の特徴は次の通りです。

  • 歯茎の色は淡いピンク色
  • 歯茎が引き締まっている
  • スティップリングがある
  • 歯と歯茎の境目にプラークや歯石がついていない

歯茎の色は淡いピンク色

健康な歯茎は、淡いピンク色をしています。

赤くなっている歯茎、赤紫色っぽい歯茎、黒ずんだ歯茎は、歯周病などが原因によって変色していると考えられます。

歯茎が引き締まっている

健康な歯茎は、ハリがあり引き締まっていて歯に密着しています。

歯と歯の間の歯茎はきれいな三角形をしていて、ブラッシングで出血することはありません。炎症によって腫れている歯茎やブヨブヨしている歯茎は健康な状態とはいえません。

スティップリングがある

スティップリングとは、オレンジの皮のような細かい凸凹のことです。

健康な歯茎は、歯茎のコラーゲン繊維の状態が良好であるためスティップリングがあります。一方、歯周病になるとスティップリングは失われてしまいます。

歯と歯茎の境目にプラークや歯石がついていない

セルフケアが不十分であったり、定期的にプロフェショナルケアを受けていない場合、歯磨きで取り切れなかったプラークや歯石が溜まっていきます。プラークや歯石を放置すると口腔内の細菌が増え、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。

歯茎が黒くなる原因にはどのようなものがあるの?

 

歯茎が黒くなる原因は次の通りです。

  • メラニン色素
  • メタルタトゥー
  • ブラックマージン
  • 進行した歯周病

メラニン色素沈着

歯茎が黒くなる原因として多いものにメラニン色素の沈着が挙げられます。

メラニン色素は外部からの刺激に対する防御反応として生成されますが、通常はターンオーバーによって体外に排出されます。しかし、過度な刺激を受け続けるとメラニンが過剰に生成され、排出しきれずに色素沈着の原因となります。

 

メラニン色素の沈着は、紫外線やタバコ、飲食物、口呼吸、力強いブラッシングなどによる刺激で起き、色素沈着の原因となる刺激が多いほど歯茎が黒ずみやすい傾向にあります。

 

メラニン色素の量は個人差があるので、遺伝的な要因によって歯茎が黒っぽい方もいらっしゃいます。

紫外線

歯茎も皮膚の一部なので、日焼けと同じように紫外線から皮膚を守ろうとメラニン色素が増えることが原因で歯茎が黒ずむことがあります。

飲食

刺激の強い食べ物やコーヒー、紅茶、ワインなど着色しやすい食べ物や飲み物を日常的に摂取していると、歯茎の黒ずみの原因となることがあります。

口呼吸

口呼吸は鼻呼吸に比べて、歯茎が外気に頻繁に触れるため乾燥しやすい傾向にあります。

歯茎が乾燥すると外部からの刺激を受けやすい状態になるので、メラニン色素の生成が活性化され、色素沈着が起きやすくなります。

喫煙

タバコに含まれるニコチンやタールといった有害物質から歯茎を守るためにメラニン色素が生成され、歯茎が黒ずみます。喫煙による歯茎の黒ずみは歯茎全体に現れるという特徴があり、受動喫煙でも黒ずみが生じることがあります。

また、喫煙は歯茎の血流を悪くするので、歯茎が赤紫色に見えることもあります。

 

喫煙は歯茎の色を悪くするだけでなく、歯周組織を弱くし、歯周病になりやすくしたり、悪化させやすくしてしまいます。

メタルタトゥー

金属製の補綴物から溶け出した金属イオンや被せ物の土台(メタルコア)を切削した際に生じた金属粒子が歯茎に沈着することで歯茎が黒くなることがあります。これをメタルタトゥーといいます。

メタルタトゥーは、接触している歯茎の一部分に帯状または斑点状に生じます。

 

保険診療では金属製の補綴物が使われることが多いため、色素沈着が起きやすく歯茎が黒ずんでしまう原因となっています。

ブラックマージン

ブラックマージンは、被せ物の金属部分が露出して歯と歯茎の境目が黒く見えている状態のことをいいます。

ブラックマージンの原因は、主に歯茎の退縮によるものです。

年齢とともに歯茎が少しずつ退縮することで、過去に治療した被せ物の境目の金属が見えるようになります。

 

ブラックマージンは、金属イオンの沈着によって生じる色素沈着ではない点でメタルタトゥーとは異なります。

 

被せ物との間にすき間があると虫歯菌や歯周病菌が入り込むこともあり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。すき間ができているのを見つけたら歯科医院に相談しましょう。

進行した歯周病

歯周病の場合、歯茎が赤みを帯びて腫れていることが多いのですが、進行していくと赤紫色に変色してしまいます。

 

また、歯周病が進行し歯周ポケットが深くなると歯根の側面にも歯石が付着します。

歯石には、歯茎の上に付く歯肉縁上歯石と、歯周ポケット内に付く歯肉縁下歯石があります。歯肉縁上歯石は、白から淡黄色をしていますが、歯肉縁下歯石は血液と混ざることで黒い歯石になります。この歯石が原因で歯茎の色が黒っぽく見えることもあります。

 

歯周病が進行すると歯周ポケットに汚れが溜まりやすくなり、さらに炎症を悪化させてしてしまうので早めに治療を受けましょう。

歯茎の黒ずみはどうすれば治る?

 

歯茎の黒ずみを治すにはどうすればいいのでしょうか。

ここでは、代表的な治療法を3つご紹介します。

  1. ガムピーリング
  2. メタルフリー治療
  3. 歯周病の治療

①ガムピーリング

ガムピーリングは、メラニン色素により黒ずんだ歯茎をピンク色に回復させる治療法です。ガムピーリングには薬剤を使用する方法とレーザーを使用する方法の2種類があり、歯科医院によって対応している方法が異なります。

 

ガムピーリングを行うと治療した部分が白色に変化し、2~3日経つと白っぽくなった皮がはがれてきます。1~2週間すると自然なピンク色の歯茎になります。

ケミカルガムピーリング

色素沈着してしまった歯茎に専用の薬剤を塗布することで、黒ずんだ歯茎を健康的な色に戻す治療法です。ケミカルガムピーリングは、フェノールという薬品を歯茎に塗布することによりタンパク質変性作用を起こし、皮膚の表面組織とともに沈着しているメラニン色素を取り除きます。

歯茎の色の状態にもよりますが、1回~数回の治療を行うことで黒ずみが改善します。

レーザーガムピーリング

歯茎の黒ずみにレーザーの光を照射してメラニン色素を除去する治療法です。

レーザーガムピーリングは、歯茎の黒ずみを安全・確実に取り除き、血色の良いピンク色の歯ぐきに戻してくれます。

ほとんどの場合1~2回の治療で効果を実感することができます。また、症例やレーザーの種類によってはメタルタトゥーに対しても効果があります。

 

レーザーによる治療は、歯茎に対してのダメージが少なく、治りも早いといわれています。

 

喫煙者の方は、治療により歯茎がピンク色に戻っても喫煙を続けるとまた同じように色素沈着を起こしてしまいます。きれいな歯茎の色をキープするためにも禁煙をスタートさせましょう。

②メタルフリー治療

メタルタトゥーやブラックマージンは、金属を含まない素材(メタルフリー)の補綴物に交換することで防止できます。

メタルフリー治療の素材には、オールセラミックやジルコニア、ジルコニアセラミック、e‐max(イーマックス)などがあります。

 

被せ物の土台にファイバーコアを使用したり、セラミック製の被せ物にすることで見た目もきれいに仕上がります。

ファイバーコアは保険診療で行うこともできますが、保険適用になる範囲に制限があります。また、保険診療ではファイバーコアと保険適用外のセラミック製の被せ物の組み合わせができないため、審美歯科では基本的にファイバーコアは自費診療となります。

 

メタルフリー治療は、金属アレルギーのリスクも下げることができます。

③歯周病の治療

歯周病が原因で歯茎が変色している場合、まずは歯周病治療を行い、歯周ポケット内に溜まっているプラークと歯石を除去する必要があります。

 

進行した歯周病に対しては、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)により、歯茎の上の歯石だけでなく、歯茎の下のプラークや歯石も除去していきます。

歯周病が重症化していてSRP(スケーリング・ルートプレーニング)で取り切れなかった場合は、歯茎を切開して歯石を除去するフラップ手術を行う場合もあります。

 

口腔内の歯周病菌が減少し歯周病が改善していくと、歯茎の色もピンク色になります。

歯周病はプラークコントロールが不十分であると再発しやすいため、治療が終了しても適切な歯磨きと定期的なメンテナンスによって、再発防止をすることが大切です。

まとめ

ここまで、歯茎が黒くなる原因と治療法について解説してきました。

 

健康は歯茎はきれいなピンク色をしています。

歯茎が黒ずんでいたり、赤紫色になっている場合には以下のような原因が考えられます。

 

  •  メラニン色素沈着
  • メタルタトゥー
  • ブラックマージン
  • 歯周病

歯茎の黒ずみは自力で元に戻すことは難しいですが、適切な治療を受けることで改善させることができます。

 

歯並びとともにきれいなピンク色の歯茎は健康的な印象を与え、印象を素敵に引き上げてくれます。歯茎の色が気になるという方は、一度歯科医院で相談してみましょう。

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